信頼と技術を、次の世代へ。
一級建築士・福谷氏がM&Aで託した未来とは
30年のキャリアを次のステージへ
「この人脈と技術を、自分の代で終わらせたくなかったんです。」
そう語るのは、一級建築士の福谷宜昌(ふくたに・きよし)氏。大手住宅メーカー・大和ハウス工業株式会社の設計パートナーとして、長年にわたり地域の建築を支えてきました。個人で築き上げた技術と信頼。その承継を見据えて、福谷氏が選んだのが「M&A」という選択肢でした。今回は、会社立ち上げからM&Aまでの歩み、そしてこれからの展望について語っていただきました。
「ものづくり」が原点。福谷氏の独立ストーリー
福谷氏の原点は、幼いころから好きだった『ものづくり』。
大学卒業後は設計事務所に就職し、約10年間の実務を通じてスキルを磨きながら、一級建築士の資格を独学で取得しました。
そして29歳で独立。「小さくてもいい。自分の名前が残る仕事がしたかったんです。街の人に“この建物、福谷が設計したんだよ”と誇ってもらえるような建築を目指しました。」その想いを胸に、自身の設計事務所を立ち上げ、地元に根ざした設計活動をスタートさせました。
大和ハウスとの出会いが、事業の転機に
独立後の約10年間は、地元の設計案件を中心に安定した経営を継続していました。しかし、さらなる成長を模索していた福谷氏は、高校時代の同級生が大和ハウス工業に勤めていることを思い出します。
思い切って連絡を取ったところ、外注パートナーとして声がかかり、事務所の仕事は大きく転機を迎えます。
「最初は1件ずつでしたが、どんどん仕事が増えていって。気づけば、業務の9割以上が大和ハウス工業からの受注になっていました。」
福谷氏の事務所は、同社の設計業務を支える重要な存在として、30年近くにわたり信頼と実績を重ねてきました。いずれも地域密着型の公共性・実用性の高い建築物であり、クライアントとの信頼関係を築きながら丁寧に仕上げてきた案件ばかりです。
M&Aという選択肢と、遠望建設との出会い
順調に見えた事業にも、変化の兆しは訪れます。年齢を重ねる中で、福谷氏は次第に『このままで良いのか』と考えるようになります。
3D CADへの対応、人材確保、組織体制の維持──個人事務所としての限界を感じ始めたころ、法人化とともに『M&A』という選択肢を視野に入れます。
「30年かけて築いた信頼と人脈を、自分の代で終わらせるのは惜しい。法人化を決めたタイミングで、M&Aを真剣に考え始めました。」
単なる売却ではなく、『信頼と技術の承継』という視点で前向きに捉えたM&A。その中で出会ったのが、遠望建設でした。
「社長は中国のご出身ですが、日本において長年にわたり地道な努力を重ねてこられた、とても誠実で信頼のおける方でした。実際にお話を伺った際にも、事業に対する真摯な姿勢と人柄の良さが伝わってきて、強く印象に残りました。また、会社自体もまさに成長の真っ只中にあり、勢いと可能性を感じさせるエネルギーに満ちていました。これまでの実績やビジョンにも共感でき、『ここなら安心して任せられる』と自然に思えたのです。」
M&Aがもたらした“安心”と“希望”
譲渡後も福谷氏は業務に携わり、これまでの知識・人脈を次世代に伝える役割を果たしています。遠望建設の経営資源と福谷氏の経験が融合し、事業は新たなステージへ。
「自分が築いてきたものを、次の世代が引き継いでさらに発展させてくれる。その流れができたことが、何よりもうれしいですね。」
今後は後進の育成や技術伝承、地域への貢献にも注力していきたいと語ります。創業当初から掲げていた『建築を通じた社会貢献』という想いは、今もなお力強く息づいています。
事業承継に悩むすべての経営者へのメッセージ
人口減少・後継者不足・人材確保の難しさ──多くの中小企業が直面する課題の中で、M&Aは大きな希望の選択肢になり得ます。
「信頼できる相手がいて、技術が残る。それだけで、自分は安心して未来に進むことができました。」
技術や志を次の世代につなげたいと考えるすべての経営者にとって、M&Aは『終わり』ではなく、『新たな始まり』になるのです。

制作:株式会社遠望建設